教育分野の最先端とは?/EDIX関西での気づき

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こんにちは。西坂です。今回は6月14日から16日にインテックス大阪にて開催された「EDIX関西」での気づきについて綴ろうと思います。

僕たち(今の大学生)が小、中学生のときとは本当に多くのことが変わってきていることを感じることができました。「教育に興味のある人」だけでなく、最後まで読んでいただけますと幸いです。

EDIX関西の入場券では名刺が必要でした。

現在の教育分野の現状とは?

はっきり言って、現在の公教育の水準は賛否両論あるといえるでしょう。正直、「今の教育が悪である」と感じている関係者も多いかと思います。しかし、教育の現場ではさまざまな改革が行われていようとしているのも事実です。

2019年から文部科学省よりGIGAスクール構想という一人一台のICT端末を導入するという政策が行われました。これにより、多くの学校でタブレット端末の導入が進んでいます。その一方で、その端末をどういった意図で使うのかという 「使い方」が明確になっていないことが今なお課題となっています。

今回参加してきた「EDIX関西」ではそうしたICT技術の活かし方の事例やサービスが集まった展示会でした。ここでの気づきを綴っていこうと思います。

教育分野の最先端とは?

GIGAスクール構想によって生まれた課題とは?

GIGAスクール構想という一人一台のICT端末の支給により生じた課題がいくつかあると僕は考えます。その中で最も大きい課題が「活かし方の事例が不十分」であったことです。僕が大分にいたときにアルバイトをしていた塾の生徒に学校から支給されたタブレットを使っている生徒がいました。その生徒の話を聞くと使い方はこんな感じでした。

  • Micorsoft Teamsアプリにクラスチャットがある
  • OneDriveに学校の資料が格納されている(フォルダ共有)
  • 基本的な画面は通常のiPadの画面と同じ

つまり、学生に「タブレットを使わせる」というよりは「持たせて用途は委ねる」というのに近いような支給の仕方です。上記のケースの場合は、「生徒が自発的にMicrosoft製のアプリを開かないと教材にアクセスできない」というようになっています。

こうした現状を見て

僕は「教育は指針を示す」ものだと考えています。この指針を示すとは「最初の段階では行動を誘導して、その後離れていく」というイメージです。そのためには、「最初は生徒がアクセスできる範囲を限定すること」が必要になります。つまり、ICT端末からアクセスできるプラットフォームを制限するような仕組み、「入り口を制限するような仕組み」作りの必要があるのではないかと感じていました。

【事例】「まなびばこ」が教育のICT化をハックする?

高知県ではGoogle製品を活用したICT教育が進んでいます。「端末・学習ツール・分析基盤」の全てを横串で通した教育ICT環境により、GIGAスクール構想を確実に実現する」という目的を掲げており、ただ端末を支給することに留まらない教育を実現しようとされておりました。

では学習ツールとは具体的にどのようなものであったのか。そのツールが「高知家まなびばこ」という学習支援プラットフォームです。こちらは「学習eポータル」機能を全国で初めて実装した学習支援プラットフォームです。この「高知家まなびばこ」という学習支援プラットフォームですが、非常に優れており僕自身も非常に感銘を受けました。まず、学校支給の全てのICT端末でログインすると「まなびばこ」に入るようになっています。

高知家まなびばこのトップページ

つまり、ここで生徒がアプリを開かずに勉強用途で使わないという課題が解決されます。また、このプラットフォームには「学年別リンク」があり、各学年に応じた動画教材や教養授業のコンテンツが格納されています。そのため、自宅でオンデマンド型授業を受けて勉強することができます。

ここまでは「勉強する」というところにフォーカスした機能を紹介しましたが、それ以外にもありました。例えば「こころの天気」による生徒の心理状況の把握、高知県内の高校の情報を公教育発のツールに全て格納、高知県内の企業の活動をまとめた「WANT2022」という企業紹介プラットフォーム。このように勉強をするための端末に留まらず、今の公教育が苦手としている「キャリア教育」にまで注力されていることを学びました。

こころの天気(マインド管理)
WANT2022(職業情報)
高校情報一覧

こうした公教育のICT化によって、学力格差にとどまらず、不登校で勉強できないという問題やいじめ問題など様々な課題解決に応用される可能性を感じました。

高知県教育委員会事務局教育政策課より引用

国として目指しているところは?

現在、文部科学省としてもICT教育を推進させるためにオンラインコンテンツを開発して浸透させたいと考えております。そのシステムが「学習eポータル」と「MEXCBT(メクビット)」。このシステムを浸透させることによって、教材へのオンラインアクセスや学習におけるデータの分析が可能になってきます。それぞれが何かわからない方もいるかと思うので説明します。

高知県の事例をもとに作成

MEXCBTとは?

まず、MEXCBTについて、端的に表すと「文部科学省初のオンライン勉強ツール」です。言葉の由来としては「MECSST」と「CBT」を組み合わせた造語です。MECSSTは文部科学省を英語表記したときの頭文字(Ministary of Education, Culuture, Sports, Science and Technology)からきています。

一方でCBTは「Computer based Testing)という簡単にいえば「オンラインテスト」のことです。近年、実施から通知までのすべての工程がインターネット上で完結されるため、主催者と受験者双方の負担が軽減されるということから多くの試験で導入されています。マークシート形式のオンライン模試などがこれにあたります。

このMECSSTとCBTの両方の要素を組み込んだMEXCBTには「全国の公的機関が作成した問題」が格納されており、生徒はそれらを用いて学習を行うことが可能です。これによって、公教育の現場で作成された学習コンテンツが蓄積されていきます。

学習eポータルとは?

次に学習eポータルについてです。学習eポータルは「様々なオンライン学習のコンテンツの入口を一つにしたプラットフォーム」です。従来は各教材作成会社が独自で行なったデジタル教材にアクセスしようとすると一つ一つログインページを開く必要がありました。

しかし、このシステムを実装することで「学習eポータルにログインするだけで全ての教材にアクセスできる」ようになります。言い換えれば、生徒が使うICT端末のトップページに学習eポータル機能を実装したプラットフォームがくることで生徒の使用体験は格段に上がるということです。

また、入口を一つにすることでその生徒の学習履歴(スタディログ)をeポータル内に一元化して分析することが可能になります。スタディログの活かし方は様々ですが、学習eポータルに紐づくデジタル教材の学習履歴を全て閲覧できるようになるため、一人当たり学習情報量が格段に増加します。

民間がしていた苦手分野の抽出が可能に?

ここからは僕の感想にはなりますが、このデータの一元化が全国規模でできるようになれば「AIを組み込み、生徒の理解度をディープラーニングさせることで苦手単元の選定、宿題の出題などもできるようになるのではないか」とさえ感じました。今は、「データ数を持っていて」「開発資金がある」大手予備校でしかできていなかったことが公教育の現場に取り入れられるのも近いのではないでしょうか。

最後に

前編では「公教育現場におけるICT化」からの気づきについて記載しました。2019年にGIGAスクール構想が掲げられてから4年。課題であった「使い道」が少しずつ解消されつつあることを強く感じました。これは民間の立ち位置についても今一度考える必要があるのではないかと考えされられる機会でした。

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